猫からのお便り
希望の星 [チルの命・3]
「チルちゃんの手術は無事終わりました。
閉塞を開きバイパスを通しましたので
これで胆汁は流れていくと思います。」
獣医さんからお電話がきて
ほっと一安心してから2日が経ちました。
手術中は何度か血圧が低くなり
やはり危険な状態での手術だったので
かなり綱渡りだったようです。
夕べお見舞いに行くと
「今朝は食欲が出る注射をして食べさせましたが
さっきは自分で食べましたよ。少しですが。」
ごはんは食べられるようになったようです。
でもまだ黄疸は退いていないので
24時間点滴を続けて経過を観察しなければいけません。
先生、スタッフの方々のご苦労に頭が下がります。
病室でのチルは意外にも元気そうで
いつものようにニャーと鳴けず「ヒャーヒャー」いいながら
出迎えてくれました。
後ろ足は点滴のチューブを刺して
ガムテープでぐるぐる巻いてあります。
バンザイもできるということなので
手術の跡を見せてもらうと
大きなミミズのような縫い跡が…
お腹の半分近くを占めているその傷が
手術の過酷さを物語っています。
それでも「もう大丈夫」とでもいいたげなチルは
エリザベスカラーをつけた顔を精一杯近づけて
「抱っこー」とせがんでくれました。
退院は「黄疸が引いて、体力が回復するまで」
まだいつになるかわかりません。
でもチルなら頑張ってくれる、きっと元気で帰ってきてくれる。
またすぐに来るからと約束して
病室を後にしました。
抱きかかえれば両腕にすっぽり収まってしまう
そんな小さな体に
逆に勇気や希望をもらってしまう、
命ってすごいな、
生きるってやっぱり尊い事なんだな。
外に出ると真っ暗で
星もみえません。
でもこの宙のどこかに
希望の星は必ず存在していて
いつかチルのもとに光を投げかけてくれる…
なぜかそう確信した寒い夜でした。